重加算税とは?~国税通則法より

今回は基本に立ち返り、『重加算税とは?』ということで重加算税を規定している『国税通則法』を勉強していくことにしましょう。
まずは、重加算税が規定されている『国税通則法第68条』の条文をご紹介します。

『第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。』
(国税通則法第68条)

この国税通則法第68条では、国税通則法65条(過少申告加算税)ないし67条(不納付加算税)に規定する各種の加算税を課すべき納税義務違反が、事実の隠ぺい又は仮装という不正な方法に基づいて行われた場合に重加算税が課せられると規定されています。

つまり重加算税は隠蔽または仮装という悪質な手段で税金を免れようとする納税者に対するペナルティなのです。

重加算税に関するニュース

先日、経営コンサルタント会社の大手が税務調査で、所得隠しを指摘され重加算税を含む追徴課税を命じられたというニュースがありました。一部報道をご紹介しましょう。

『所得隠し:船井総研関連会社が1億円 利益圧縮と指摘』
(毎日JP|2010年8月24日配信より一部引用)

 経営コンサルタント大手「船井総合研究所」(大阪市)グループの不動産会社「船井エステート」(エ社、東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、約1億円の所得隠しを指摘されたことが分かった。物件を売却する際、親会社の「船井財産コンサルタンツ」(コ社、同区)がコンサルタント業務を行ったよう装って利益を圧縮していたといい、追徴税額は重加算税を含めて約4000万円に上るとみられる。エ社は既に修正申告した模様だ。
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日本でも最大手の経営コンサルタント会社の子会社が悪質な所得隠しを行ったとして国税局からペナルティを受けた事件です。既に修正申告を済ませたようですから、全面的に非を認めたということなのでしょう。

一般企業に経営や税務をコンサルする側が一線を超えた会計操作をしていたわけです。いわば会計操作のプロによる悪質な脱税行為といえるわけで、厳罰は当然のことだと思います。こうした経営コンサルが自身の経験を踏まえて一般企業を指南していたとすれば、クライアント企業も疑いの目を持って調査される公算も高く、まだまだ芋づる式に重加算税を指摘される事件が出てくるのではないでしょうか。

附帯税の種類

重加算税は通常の税金に加えて課せられる『附帯税(ふたいぜい)』の一つです。附帯税は本来納付すべき税金以外に課されるもので、重加算税以外にもいくつかの種類があります。

[重加算税以外の付帯税~過少申告加算税]
確定申告後、修正申告又は更正によって追加税額が生じた場合に課税されます。しかし、自主的に申告内容の誤りに気づき修正申告を行った場合には適用されません。

[重加算税以外の付帯税~無申告加算税]
期限内に申告しなかった場合、もしくは期限後に遅れて申告した場合で、納付するべき税額があった場合に課税されます。ただし申告が出来なかった正当な理由があると認定された場合には課せられません。

[重加算税以外の付帯税~重加算税]
無申告、過少申告、不納付の場合において、意図的に事実の全部もしくは一部を隠ぺい又は仮装等を行った(と認められた)場合、いわば悪質な脱税の場合に重加算税が課せられます。これが重加算税です。

[重加算税以外の付帯税~不納付加算税]
給与等の源泉徴収税額を納付期限内に納めなかった場合に課せられます。

[重加算税以外の付帯税~利子税]
税金を納付期限までに納めることができないケースにおいて、届出により所得税や相続税等の延納が認められた場合、法人税で申告書の提出期限の延長が認められた場合、又災害などにより申告書の提出期限を延長する場合、延納日数にあわせてこの利子税が課せられます。

[重加算税以外の付帯税~延滞税]
法定納付期限までに税金の一部又は全部を納付しなかった場合に課せられます。

重加算税と認定されるケースとは?

重加算税は、税務署又は国税局査察部による税務調査によって、悪質な所得隠しがあったと認定された場合に懲罰的な意味合いで課せられる附帯税です。所得隠しと認定されたものに関しては本来の税金に加えて、重加算税の税率がプラスされるというものです。

しかし、前回もご紹介したこの『所得隠し』については具体的に数値化されていない部分が多くあります。重加算税を課せられる基準となる、所得額や税額計算の基礎となる事実の全部または一部を「隠蔽し、または仮装し」とされる「隠蔽、仮装」と認定される基準はあくまでも税務当局の腹積もり次第の部分があるのです。

極論すると重加算税と認定されるかどうかというのは税務署の気持ちひとつということになります。

しかし、重加算税と認定される判断基準はある程度の示されており、「二重帳簿の作成、請求書や領収書の破棄や隠匿、法人税であれば簿外資産から役員賞与その他の費用を支出しているなど」が明らかな場合は重加算税として認定されるようです。

上記以外にも、「事業の経営のほか売買、賃貸借などの取引を本人以外の名義または架空名義で行っていることや、所得の源泉となる株式や不動産などを、本人以外の名義または架空名義で所有していることなど(例外あり)」が重加算税と認定される基準とされています。

中小企業の税務調査では、1つや2つの問題点は出てくるものです。こうした税務調査で、重大な問題点が発見された場合に、別の部分で申告漏れを認めるなどして重加算税を逃れるようなバーターが通常行われています。つまり、重加算税は交渉過程における交渉カードのひとつとして使われているのが現実のようです。

重加算税について

重加算税とは通常の税金と違って、罰則的な側面を持つ税金です。
自己申告納税制度の日本では、納税者自ら納税額を計算・申告・納税を行います。納税額を少なくするために故意に事実の仮装や隠蔽を行っていた場合(認定された場合)、過少申告加算税のかわりに増加分の税額の35%相当額を課すものです。

この”事実の仮装・隠蔽”と認定される具体例は以下の通りです。

[仮装・隠蔽になる場合の例]

1. 二重帳簿を作成(裏帳簿が、税務調査で発見された)
2. 帳簿及び書類を隠したり、または偽りの記載などをしていた場合(実際に売り上げの無い領収書等)
3. 税務申告で提出する証明書等を改ざん、または偽りの申請で証明書等の交付を受けていた
4. 簿外資産に係る利息収入や賃貸料収入等を計上していなかった
5. 簿外資金を役員賞与その他の費用を支出していた
6. 同族会社なのに、株主に架空の人や単なる名義人を記載し、非同族会社として申告していたケース

払うべき税金をしっかり払わなかった場合に脱税や所得隠し、申告漏れといわれますが、それぞれ以下のような場合です。

1. 脱税
払わなかった税金の額が大きく、手口も悪質のばあい脱税といわれます。この場合には、起訴されて有罪になり刑務所送りになることも珍しくありません。重加算税が課せられます。

2. 所得隠し
所得隠しは脱税ほど悪質でないが2重帳簿などで所得を隠した場合です。重加算税は課せられます。

3. 申告漏れ
最後に申告漏れですが、これは必要経費として計上したが、税務署がこれを認めないなど見解の違いから生じるものでこちらは認めて、修正申告すれば重加算税は課せられません。

正しい税の知識が必要!

不況が長引く中、貯蓄だけに頼っていたのでは心許ありません。『貯蓄から投資へ』の旗印のもと、20代の若者からシルバー世代まで投資に対するモチベーションが高まっています。

しかし、投資を始めるにあたって税金の知識は欠かせません。
「税金なんて、儲かってからでもいいでしょ」と思われるかもしれませんが、投資する前に知っておいた方がいいことがたくさんあります。

[確定申告]
サラリーマンのような給与所得者の方は年末調整で納税額を決定しますから、確定申告をする必要がありません。しかし、投資を始めて利益が出るようになったら気をつけなければなりません。今人気のFXを始めて、年間の利益が20万円を超えるようでしたら、確定申告しなければなりません。また、株投資の場合も源泉徴収ありの特定口座以外の証券口座(一般口座、源泉徴収なしの特定口座)の場合、株を売却して利益が出た場合には確定申告の必要があります。

もしも、確定申告と納税をしなかったら、税務署の税務調査が行われて、ペナルティとして無申告加算税、過少申告加算税、重加算税、不納付加算税、延滞税が課されてしまいます。サラリーマンの方の場合、源泉徴収されることに慣れてしまっているため、どうしても納税に対する意識が薄れがちになってしまいます。将来のことを考えて投資を始められるのであれば、投資の勉強と合わせて、是非、確定申告や重加算税などの税の知識も一緒に勉強して下さい。

人気グループの脱税事件

先日、若者に絶大な人気を誇る音楽ユニットの所属する芸能事務所が所得隠しを行っていて、重加算税を含む追徴課税に応じたというニュースがありました。以下に一部ご紹介します。

『EXILE所属プロが2億所得隠し、国税指摘』
(YOMIURI ONLINE|2010年3月24日配信より引用)
 人気グループ「EXILE(エグザイル)」が所属する芸能プロダクション「LDH」(東京都目黒区)と関係会社1社が東京国税局の調査を受け、2009年までの2年間で約2億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。
 ほかに約1億円の申告漏れも見つかり、重加算税と過少申告加算税を含む追徴税額は約1億円とみられる。
 同社は同局の指摘に従って、法人税と消費税について修正申告し、納税を済ませたという。
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事務所サイドでは、意図的な所得隠しは一切行っていないとしていますが、東京国税局からは一部の申告漏れについては”悪質な”仮装・隠蔽行為が行われていたと認定されています。納税者サイドと国税局の判断が分かれることはよくあることですが、所得隠しを認めて重加算税を含む追徴課税を支払っているわけですから、意図的な所得隠しがないと発表するのは矛盾しているのではないでしょうか。

『悪質な仮装・隠蔽行為』と認定される事実は意図的な所得隠しに他なりません。まるで何事もなかったように芸能活動を続けている彼らをテレビなどで見ると、あまり罪の意識が感じられないように思うのですが・・・。

重加算税関連情報

重加算税も追徴課税も『ペナルティ』的な税金という意味では同じですが、どのような共通点と違いがあるのでしょうか。重加算税、追徴課税ともによく聴く言葉ですが、きちんと理解しておきましょう。

[追徴課税とは]
まずは「追徴課税」についてですが、追徴課税とは本来適正に申告していれば課されなかった税金のことを意味するメタ用語です。つまり、不適正な(間違った)申告に対するペナルティ的な意味合いを持つ税金です。こうしたペナルティ的意味合いの税の総称が「追徴課税」ということになります。この中には、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税が含まれます。つまり、重加算税は追徴課税の中に含まれるということになります。

[重加算税とは]
「重加算税」とは追徴課税の中でも最も税率の高い税金で、悪質な租税回避、脱税に対して課せられる税金です。無申告、過少申告、不納付の場合において、意図的に事実の全部もしくは一部を隠ぺい又は仮装等を行った場合、いわば大掛かりな脱税の場合に課税されます。このケースが重加算税に該当するのです。

◆ペナルティ1 = 過少申告税においては追加本税の35%
◆ペナルティ2 = 無申告加算税においては納付税額の40%
◆ペナルティ3 = 不納付加算税においては納付税額の35%

上記のような高い税率が課せられるのも重加算税の特徴です。こうした重加算税が課せられないように、絶対に脱税行為を行ってはなりません。重加算税は税金面からのペナルティとなりますが、脱税は社会的なペナルティも受けることになってしまいます。

話題の「マネー・ローンダリング」とは?

民主党の小沢幹事長の政治資金団体の土地購入問題に絡んで、にわかに『マネー・ローンダリング』が話題になっています。今回は重加算税とこのマネー・ローンダリングの関係についてご紹介しましょう。

マネロンは簡単に説明すると、犯罪や不正な経済行為によって得たお金を普通に使えるような「表」のお金にすることです。「不正な経済行為」とは例えば、麻薬譲渡人が取得した譲渡代金をあたかも正当な商品を譲渡した代金であるかのように装うため売買契約書を作成する行為、あるいは借入金、預り金等を装ってその旨の書類を作成し、あたかも正当な取引により得た資金であるかのように偽装する行為がその典型とされています。

今回の裏献金が事実だとすれば、不正に受け取ったお金を小沢幹事長の個人資金と混ぜて土地購入した行為も不正な経済行為といえるでしょう。特に今回の土地購入問題は、非課税の政治資金で土地購入しているという問題も含んでいます。もっともっと重加算税、重加算税です。

今後、事実が明らかになってくればどのようなペナルティーが適当かの判断も出来るとは思うのですが……。こうしたマネロンの対処法として重加算税を拡大解釈して適用するのはどうでしょうか。資金移動を繰り返して出所を不明瞭にしている資金や寄付を装って資金洗浄を行った資金に重加算税をかけてみるのです。

重加算税の最高税率は40%ですが、国民の血税を使った不正行為についてはもっと高い重加算税を上回るようなペナルティーを設定してもいいと思います。今後も重加算税を学ぶことで、お金の大切さ、税金の意義や重要性を学んでいきたいと思います。

鳩山家の子ども手当について

鳩山首相の献金問題が山場を迎えつつあります。東京地検特捜部は経理担当だった元公設秘書を政治資金規正法違反罪で在宅起訴、会計責任者だった元政策秘書を規正法違反(重大な過失)の罪で略式起訴。鳩山首相本人については関与はなかったと判断、不起訴となりました。これまでも政治資金については多くの政治家が問題を指摘されたことがありましたが、今回の幕引きも同様に秘書の一存ということで決着しそうです。

しかしながら、今回の資金問題はもう一つ別の側面を持つと考えられるのではないでしょうか。

鳩山首相のお母さんが、首相や弟の鳩山邦夫・元総務相の他に首相の姉にも資金提供しており、政治家ではない姉へも資金提供があったことから、相続税対策のための資金提供だった可能性があるという報道がありました。

つまり、今回の資金提供は政治資金目的ではなく「生前贈与」であり、相続税(贈与税)対策のための資金提供であった可能性が高いのです。金額の大きさ、仮装隠蔽の事実から今回の資金提供は重加算税の対象となるべき案件ではないかと考えられます。

重加算税は、『納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき』と国税通則法に定められています。今回のケースは、少なくとも過去数年に渡って贈与税を申告してこなかったわけですから、十分に重加算税を課せられてもいいのではないかと思います。

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